KAI house

KAI house

時をつなぐ住まい

子供たちの独立後、母一人で住んでいた住居に再び子世帯家族が一緒に暮らすことになり、ビルのワンフロアを二世帯住宅へリノベーションした計画。既存の間取りはいわゆるnLDK型のプランで、個室毎にRC造の躯体で覆われており、生活の変化に伴う更新になかなか対応しにくい空間でした。これから再度共に暮らす家族がプライバシーを保つ場所を確保しつつ、お互いの気配は感じるような住まいの在り方を考えた時、全く刷新した空間でアップデートするのではなく、家族の成長に応じて思い出を繋ぎつつ、住み繋がれていく住まいとなるよう思い出が感じられる痕跡を残してデザインしています。例えば、今は亡き父が新築当時に要望した広々としたホールや幅広の廊下は各空間と家族をつなぐターミナルとして回遊させ、使い方や状況によって各部屋と一体になったり、個別にしたりと使い分けができるようにしました。新築当時の思い出が残るステンドグラスの窓下には子供が遊べるベンチコーナー、そこに面して書斎スペース、その様子をリビングから臨むなど各居場所が柔らかに連続し、共存する家族の関係性や空間の多様性を包括するおおらかな空間となりました。

所在地 :東京都八王子市
用途  :店舗+オーナー住宅+共同住宅
工事種別:オーナー住宅部リノベーション
竣工  :2018年8月
構造規模:RC造一部鉄骨造
床面積 :225.92㎡(工事対象部分)
築年数 :34年(1984年新築)
施工  :伸栄
撮影  :鮫島直樹
掲載誌 :relife+ premium No.2 (扶桑社)