松本の家

勾配が連なり、光とリズムが生まれる

山々に囲まれた松本平は、夏は昼間の気温が高い一方、朝晩は涼しく通風を活かすことで冷房に頼らない暮らしが成り立つ、豊かな気候風土を持つ土地である。積雪という厳しい条件も含めたこの地の気候に対し、固く閉じることで抗うのではなく、周辺環境を積極的に受け入れる開放的で広がりのある空間のあり方を提案した。

諸室をそれぞれ独立した棟として分散させ、用途に適した光が入る場所に配置しながら、互いに少しずつずらすことで独立性を高め、庭を包み込むように配置している。ずれながらも連続する棟ごとに様々な勾配の屋根が寄り添い、外部では積雪を受け流す機能的な役割を果たすとともに、屋根面積を分散することで積雪荷重を軽減するというメリットも生み出している。

内部においては、勾配天井が開口部から差し込む光の陰影に広がりを与え、床レベルも天井高も勾配も異なる諸室が立体的に浮かび上がる。移動するたびにリズミカルな空間の展開が連なり、松本の風土と気候が建築の豊かさへと転換された住まいとなった。

所在地
長野県松本市
用途
住宅
竣工
2009年8月
構造規模
木造・地上2階
敷地面積
280.09㎡
建築面積
120.09㎡
延床面積
147.84㎡
設計監理
オンデザイン(後藤担当/在籍時)
施工
滝澤工務店
撮影
鳥村鋼一写真事務所
掲載誌
最高の建築家20人 エコ住宅傑作選(エクスナレッジ)