RIFF house

リフレインする光と景色と陰翳礼讃

幹線道路から少し入った造成地に建つ、南北に細長い敷地の住宅計画である。
南側には開放的な景色が広がる一方、北側には高さ約4mの擁壁上にマンションが建ち敷地を見下ろす。三方を囲まれたこの環境の中で、プライバシーを守りながら閉鎖的にならない空間をいかにつくるか、そして外部の景色と光を内部空間の奥まで引き込むことが課題となった。

そこで細長い敷地を立体的に捉え、周辺環境のアップダウンに沿って地形を丁寧に積み上げるようにスキップフロアを配置した。床と床、壁と壁の取り合う部分に余白となる隙間を設け、そこから光や景色を引き込むことで、視線が抜け、物理的な広さ以上に空間を膨らませる効果をもたらしている。リズミカルに移動するたびに視界が開けていく体験を建物内にリフレインさせ、水平・垂直方向へと伸びやかさを与えた。

東西面はハイサイドライトや南北の開口部から、階段や吹き抜けを介して光と風を建物全体に行き渡らせ、廊下や階段の床をルーバー状とすることで空気の上下循環と家族の気配のつながりを生み出している。敷地奥の北側には屋根面に光井戸となる外部吹き抜けを設け、静かで穏やかな光をダイニングキッチンや浴室へと届けた。南側の庭には築山を設け、掘り下げたアウトドアリビングが内部空間と緩やかにつながる。

制約の多い環境の中での試行錯誤の末、外観の佇まいからは窺い知れない内部の抜け感と、どこにいても周辺環境へとつながっていくおおらかな広がりを持つ、この敷地でしか得られない住まいが生まれた。

所在地
神奈川県川崎市
用途
専用住宅
竣工
2021年12月
構造設計
EQSD
外構設計
スタジオテラ
施工
栄港建設
構造規模
鉄筋コンクリート造・地上3階
敷地面積
109.61㎡
建築面積
62.77㎡
延床面積
129.70㎡
撮影
鳥村鋼一写真事務所
受賞歴
第64回 神奈川建築コンクール 優秀賞 受賞