SOU

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本格茶室と暮らす日常生活

本格お茶室を日常的に生活に取り入れ、日常生活とハレの場としてのお茶事、どちらのシーンにも添う機能と違和感のないデザインを考えて計画したマンションリノベーションです。

日常生活する住まいとしての機能と、本格茶室でお茶時も行う際の設えと、マンションの一室にその両方を共存させるために、いかに見立て、いかに置き換えるかを一つのテーマとして考えました。茶室に寄せたデザインや機能とするでもなく、かといって全く異なる設えとするでもなく、お互いの印象がつながるようなデザインとしています。

ハレ(茶室)への終点に向かうまでの空間は、控えめで静かなデザインを意識しました。素材や色味はとても静かに慎ましく、茶室へ向かう露路のように。エントランスからお茶室への動線は、古材や経年の美しさを活かしたお茶室へたどり着くクライマックスを演出するため、抑えたトーンでありつつ素材感を感じるよう計画しました。

お茶時の時はエントランスホールはお茶席へ入る前に身支度を整える寄り付きへ、つくばいは設けることが難しいケースもありますので、お手洗いにて身を清めます。家族が集まりにぎやかに食卓を囲むことができるようなリビングダイニングのベンチは腰掛け待合、キッチンはお茶のお仲間と一緒に懐石料理を作る厨房へ、ご亭主のアトリエ兼寝室は水屋へつながる茶道口となり、お茶時の時は日常の使い方からまた違う側面を見せます。リビングダイニングの家具は立礼式の茶事ができるように低めのテーブルと椅子をオーダー製作しました。

茶室と共に住まうことがきっかけでさまざまな側面をもたせることができ、季節や天気、毎日のさまざまな機微をとらえ、豊かな日常を共に過ごしていけるような器となるような住まいとなりました。

茶室部分の設計監理はお茶人でもある京都の建築家、岩崎建築研究室の岩崎泰さんが担当されました。

所在地    :東京都世田谷区
工事種別   :マンションリノベーション
竣工     :2023年7月
床面積    :95.84m²
築年数    :21年(2002年新築)
茶室設計監理 :岩崎建築研究室 こちら
施工/全体  :
施工/茶室部分:鈴木工務店
家具・キッチン・建具製作:Arno
撮影     :鳥村鋼一写真事務所