杉並の家 | 築20年、思い入れの深い住まいのリノベーション

「杉並の家」は、弊事務所の後藤にとって特別な思い入れのある物件です。カガミ建築計画に在籍していた頃、初めて新築住宅を担当させていただいた特別な物件でもあります。

当時は初めてのことばかりで、カガミ建築計画の所長である各務さんや先輩方にたくさんのことを教わりながら、任せてもらえることが嬉しくて、とにかく一生懸命に向き合いました。

お引き渡しの際にお施主様からかけていただいた「これからいろんな建築をつくっていくだろうけど、初めての住宅は僕たちの家だってことは変わらないからね」という言葉は、今でも大切に心に残っています。

新築時の様子(2003年12月竣工)

リノベーションの内容をご紹介する前に、「杉並の家」の新築当時の竣工写真をご紹介します。
1階玄関ホールから階段、1階廊下をみた写真と、2階LDKの写真になります。

今回工事をする部分の竣工当時の写真を載せさせていただきました。

そんな思い入れの詰まった「杉並の家」のリノベーションに携わることになったのは、お施主様が修繕工事をカガミ建築計画さんにご相談された際、当時の担当ということでご紹介いただいたことがきっかけでした。 このようなご縁をつないでいただいたことに、カガミ建築計画の各務さんには心より感謝しています。

リノベーション1期工事(2019年1月〜8月)――修繕と機能改善を中心に

最初のリノベーション工事は2019年6月のことです。新築当時、小学生と幼稚園生だった息子さんたちが社会人や大学生となり、それぞれお家を出られていました。(時の流れは本当にはやいものです。。。)
1期工事では、そうした暮らしの変化に合わせた間取りの調整と、経年による劣化部分への対応を中心に工事を進めました。

主な工事内容は、子供室を主寝室へ変更する工事のほか、外壁の修繕、玄関ドアの交換、アルミサッシの調整、壁や天井のビニルクロスの張り替え、そして当時まだ白熱灯のダウンライトだった照明をLED照明に交換するなど、機能改善を中心とした内容でした。

リノベーション2期工事(2024年3月〜)――デザインの刷新も含めた修繕

リノベーション1期工事の完了からさらに4年半ほどが経ち、今回のリノベーション2期工事へとつながります。1期工事では見送った床のフローリング交換やお風呂の交換、2階部分の壁・天井の塗装工事に加え、TVボードやアクセントウォールの追加など、機能面だけでなくデザインの刷新も含めた工事を行うことになりました。

デザインの刷新については、新築当時のデザインの本質を大切にしながら、新たなエッセンスを加えていきました。お施主様からは階段を上がったところの2階正面の壁面と建具を少し変えたいとご希望があり、4つの案をご提案させていただきました。

A案は、リプバネルと天然木の突板パネル、建具も天然木の突板を使う案です。建具の切り替え部分で壁を白い塗装色にしています。
B案は、リプバネルと天然木の突板パネル、建具も天然木の突板を使う案ですが、壁を全面木質系の素材にすることがA案と異なります。LDKは既存が白い空間ですので、デザインを変えるにあたり木質系の壁面をアクセントにしてもバランスの良い空間になるかと考えました。

C案、D案はリプバネルを建具の際までとしています。C案は建具は既存の壁と合わせて白色に、D案は建具をグレー色にしてアクセントをつけた案です。
爽やかな印象とアクセントを両立したC案がお好みにあい、採用になりました。

また大型テレビを壁掛けにしたいとのご希望があり、テレビボードも今回の工事で作り直すことになりました。ダイニング側の壁面ニッチも、もともと壁からニッチまで塗装を塗り回していたのですが、小物を置いたりする部分は石膏ボードに塗装を施した仕様でしたので、長年の時間の経過もあり汚れてきていました。今回、壁の塗装工事を行うにあたり、木材で額縁を作ってニッチの四周に設置することをご提案しました。壁と額縁の取り合い部分を目透かしで設置すれば、塗装のひび割れ防止にもなりますし、ニッチを縁取りするデザインがこれまでの雰囲気を少し変えてくれます。
こちらは、3つの案をご提案させていただきました。

A案は、壁掛けテレビ用のバックパネルとテレビボードは木質系、隣の飾り棚兼床置きエアコン収納は白いキャビネットにするデザインです。ダイニング側の壁面ニッチの方は、四周の額縁を壁の色と合わせた白色とすることで、周辺の雰囲気に馴染ませた案です。

B案は、バックパネルは木質系、TVボードと隣の飾り棚兼床置きエアコン収納は白いキャビネットにするデザインです。ダイニング側の壁面ニッチの方は、木材の額縁で縁取るデザインを強調する案です。

C案は、バックパネルは木質系、TVボードと隣の飾り棚兼床置きエアコン収納はグレー系のキャビネットにしたデザインです。ダイニング側の壁面ニッチの方は、A案と同じく、四周の額縁を壁の色と合わせた白色とすることで、周辺の雰囲気に馴染ませた案です。
グレー系のキャビネットが空間全体にアクセントを加え、少し締めた印象になります。空間全体のバランスからC案で進めることになりました。

ひとつの住まいに、これほど長い時間をかけて関わらせていただけることは、なかなか経験できることではありません。新築として関わらせていただいた住まいが、年月とともに家族のかたちに寄り添いながら少しずつ変化し、その節目ごとに再び声をかけていただけることはとてもありがたいことです。「杉並の家」にとってのこれまでとこれからに、引き続き丁寧に向き合っていけたらと思います。