RIFF house/第64回神奈川建築コンクール 優秀賞受賞

第64回 神奈川建築コンクールにおきまして、”RIFF house” が住宅部門の優秀賞を受賞いたしました。
プロジェクトに関わっていただいたみなさまのおかげで、このような賞を受賞できたことに感謝を申し上げます。

コロナ禍の影響により3年ぶりに開催された神奈川建築コンクールで、受賞をできたことは大変光栄であります。

ちょうど現地審査の予定時期にコロナ禍の第7波が押し寄せたため、審査員の方々の現地視察が中止となってしまい、ライブ配信によるオンラインでの現地審査となったのですが、その時にはこの空間性を体感していただけなくてとても残念に思っていたものです。

ですが、オンラインでのプレゼンテーション後、質疑応答で審査員の方が「この住宅は書類審査から現地で体感したいと思っていたので、今回伺えなくて残念でした」と言ってくださり、そのような感想をいただいたことに背中を押していただけた気持ちになりました。

公表されている審査総評のうち、”RIFF house” の講評を以下に転載させていただきます。
「鉄筋コンクリート構造の魅力を階段やベンチ・テーブルといった部分にも展開し、その素材感や力強さを空間の魅力として表現している点が評価された。」

このプロジェクトは、共同設計者でもあり施主でもある構造設計者、設備設計者とともに、意匠・構造・設備・ランドスケープの設計者たちが、フラットな関係で空間性を議論し、協働関係の中であらゆる目線からアプローチをした試みでした。そういった建築がこの度評価をいただいたことに、大変感慨深く嬉しく思っています。

神奈川建築コンクールの概要はこちらからどうぞ → 神奈川建築コンクール 令和4年度入賞作品(第64回)

RIFF house/内覧会

12月11日、12日と開催させていただいたRIFF house内覧会では、たくさんの方々にお越しいただき、誠にありがとうございました。

内覧会はさまざまな視点からのお話を伺えるので、設計者にとって大変ありがたい機会です。みなさまから伺った良いところや見直した方がよいところなど、これまで気づかなかった部分も多々ありまして、とても有意義な2日間でした。

お施主様が構造設計者、奥様が環境設備設計ということもあり、ご来場いただいた方も構造設計、環境設備設計のご関係の方も者多く、様々なご意見、ご感想を伺えました。

両日ともお天気にも恵まれ、気持ち良い気候で内外つながった空間をご覧いただけてホッとしました。

思いもよらなかったのですが、お子さん方に大好評をいただきました。楽しそうに思い思いの場所を見つけてくれて、「まだ帰りたくない!」と言ってくれたのが嬉しい発見でした。

ルーフバルコニーからはとても綺麗な夕焼けが見えました。工事中はなかなかこの時間まで現場にいないので、私たちもじっくり見れてよかったです(笑)

ご来場いただいたみなさま、内覧会を快く開催させていただいたお施主様、施工会社の栄港建設さん、ここまでご協力いただいたみなさま、どうもありがとうございました。

内覧会の開催のご案内 / RIFF house

このたび弊社にて設計監理を進めてまいりました住宅「RIFFhouse」が竣工を迎え、
お施主様と施工会社のご厚意により、内覧会を開催させていただく運びとなりました。
年末の慌ただしい時期ではございますが、是非この機会にご高覧いただきたく、ご案内を申し上げます。

【RIFF house 内覧会】
日時:12月11日(土)11:00 〜16:00
    12月12日(日)11:00 〜16:00
場所:神奈川県川崎市区宮前区土橋
アクセス:田園都市線 宮前平駅・鷺沼駅より徒歩18分
      ( 宮前平駅・鷺沼駅よりバス利用の場合は15分)


感染症予防対策の観点から事前に来場者数を把握させていただきたく、
誠に恐れ入りますが、来場をご希望の方は
「お名前・人数・ご希望日・ご希望の時間帯(番号①〜⑤)」
を下記のメールアドレスまでご連絡ください。
[メールアドレス]
mail@hakuarchi.jp
[ご希望時間帯]
①11:00〜 ②12:00〜 ③13:00〜 ④14:00〜 ⑤15:00〜
*混雑具合によっては、時間変更をお願いさせていただく場合がございます。
*物件情報・行き方の詳細などは上記メールでご連絡いただいた方へお送りさせていただきます。
予めご了承下さい。

[ご来場時のお願い]
・当日はマスクをご着用の上、ご来場ください。
・体調不良や風邪などの症状がある場合は、ご来場をお控えください。
・当日は使い捨ての手袋を入口でお渡ししますので、着用の上、ご見学ください。
以上、お手数おかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

*ご不明な点は、下記までお問い合わせください。
株式会社ハクアーキテクツスタジオ
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-1-3 千駄ヶ谷パークマンション501
TEL:03-5341-4817

RIFF house は構造設計家と設備設計家の自邸でして、関係者全員が設計者という滅多にないチームで
様々な対話と試行錯誤を重ねてまいりました。設計施主のチームワークが結晶となった住宅です。
ご都合あえば是非ご高覧いただき、コメント、感想、ご批評いただけますと幸いです。

RIFF house/外部建具工事

コンクリートの型枠脱型が終わり、いよいよ仕上げ工事に入っていきます。型枠が外れると次に行われる工程は雨水の侵入を防ぐために外部建具の設置や、この建物は外断熱の仕様のため、断熱工事を先行して進めていきます。

木製サッシの取付も進んでいます。木製サッシは川上製作所のJOYWOODを採用。

この地域は準防火地域のため、外部のサッシに防火性能が求められます。1階では敷地境界線から敷地内に3mの範囲、2階以上は5m範囲に掛かる建具は防火設備仕様にしなければなりません。防火設備というと一般的にガラス部分は網入りガラスを採用しますが、今回は網の入らない透明性の高い耐熱強化ガラスと断熱・遮熱性能が高いLow-Eガラスの複層ガラスを採用しています。(木製サッシのガラスは防火設備認定を取得しているファイアライトというガラスを採用)

2階の木製サッシとコンクリートの取合い。コンクリート壁の凹んだ部分は室内側でカーテンボックスやプリーツ網戸を納めるために窓枠を設置します。枠材はコンクリートの型枠のラワンの表情に近い南洋材のアガチスを採用します。アガチスは強度もあり木目も緻密で表情も主張しない造作材です。

コンクリートの躯体に木製サッシを固定するために、サッシアンカーという鉄筋で支持しています。隙間はサッシ用のモルタルを充填し、室内側には化粧として木製の窓枠を設置します。

上記はコンクリートの躯体のスリットに入るガラスの縦枠(建築用語で方立)です。外部に面するためメッキ処理をしています。

アルミサッシも入りました。アルミサッシも耐熱強化ガラス+Low-Eガラスの複層ガラスです。断熱性能も高く結露も生じにくい樹脂サッシを採用。サッシ枠も内部(サテングレー色)と外部(アルミ色)で色を分けています。

コンクリート躯体とアルミサッシの隙間にモルタルが充填されています。この隙間は外壁の左官仕上げ後にシーリング処理をします。

外壁の断熱材、ポリスチレンフォーム厚み50mmの貼付け。本計画は外断熱で東邦レオのエコサームを採用しています。この上にメッシュシートを貼りモルタル下地を塗った上に仕上をします。

アプローチ上部の跳ね出した2階のヴォリューム。こちらの軒天井にも断熱材が施されています。

RIFF house/型枠脱型

いよいよコンクリート型枠取外し(脱型)です。最後のコンクリート打設から約1か月ですが、その間に脱型は済んでおり、コンクリートの部分補修工事を実施しています。今回の計画のような小規模で複雑なコンクリート造の場合、狭い隅部などにコンクリートが完全に充填しないことがあり、そのような箇所はコンクリートを斫り(削ずること)とり鉄筋は錆止め処理を施し、新たにコンクリートを打設します。

1階ダイニング・キッチンからリビング・アウトドアリビングの眺めです。ダイニングキッチンは極力天井高を抑えて、リビングからアウトドアリビングにかけて天井が高く外に向けて開放されるように計画しています。天井の高さをコントロールすることによって劇的な空間になります。大きな吹抜けも良いですが、狭い空間においては空間に少し差をつけるだけでも、人の動作によって空間の移り変わりが感じられます。ダイニングキッチン手前の北側にはルーフバルコニーまで繋がる吹抜け(光井戸)があるので光と空気が空間全体を包みます。

こちらの基壇(階段の塊)はLDKに繋がるアプローチです。ただ階段を作るのではなく、玄関収納とリビングのベンチを兼ねています。上階へ繋がる階段は壁から跳出した片持ち階段です。コンリートの可能性は無限で意図的に操作することで空間の在り方も変わります。動線は軽やかに、皆の集まるところは包まれるような安心感が出せるとよいかなと計画してみました。

上記の写真は2階の空間で、手前がお子さんのお部屋です。宙に浮いているコンクリートスラブは床兼デスクです。少しづつスキップして一番奥が主寝室となります。建物の両サイドはお隣の建物があるので採光・換気用の窓だけです。南側の主寝室の窓と階段上部のハイサイドライトから、階下のリビングダイニングへ光をおとします。

階段上部のハイサイドライトは空間全体に光を落とし、写真右側の吹抜け(光井戸)はルーフバルコニーから1階のダイニング・キッチンまで光を届けます。この光を異なる操作をすることで陰影のある奥行きのある空間になります。

北側の 吹抜け(光井戸) です。1階はダイニング・キッチン、2階は浴室・洗面など水廻りを配置しています。北側には中層マンションがありこの建物を見下ろしているため、外殻でプライバシーを守りながら北側の柔らかい光が室内に届くよう工夫をしています。

浴室から洗面室の眺め。 吹抜け(光井戸) からの光が、暗がりで陰鬱になりがちな北側の水廻りを明るく照らします。

階段上部のハイサイドライトです。開口ワイドは約7mあり下階まで光を取り入れています。両サイドに隣家が迫っているため、このハイサイドライトが空間全体に光を届ける要となります。

階段上部のハイサイドライト(ルーフバルコニーから) です。東南に配しているため、時期・時間によって移ろう光が内部空間の光を変化させます。

2階からルーフバルコニーへの空間。上部に足場が掛かっていますが、足場の上部がハイサイドライトです。ハイサイドライト下部のコンクリートに四角い穴が2箇所あることがわかるでしょうか?

これです。コンクリート打設時に仕込んであります。何のための穴かわかるでしょうか?

実はこれ、2階の床(コンクリートスラブ)を吊るためなんです。この部分は階段ではなくコンクリート床が片持ちになっています。建物の間口が狭い空間なので柱を落とすと内部空間も狭くなってしまいます。それなら鉄骨柱を落とせば良いのでは?とも考えられますが、この空間は階段室です。柱を落とせないので吊りました。はい。。

吊材は約1.5cmの鉄の棒2箇所で吊ります。もちろん鉄の棒で吊らなくても構造的には何の問題も無いのですが、振動や荷重によって少し揺れる恐れがあるので吊っています。

外部の建具に採用するスチールサッシの枠材です。仕上の塗装などせずに溶融亜鉛メッキ仕上げです。一般的には外部使用で耐久性を持たせるために鉄のプレートに溶融亜鉛メッキを施した上で、お化粧に塗装を施しますが、今回はお化粧無しのそのまま溶融亜鉛メッキ仕上げです。 この仕上げはまだホヤホヤなので銀色でキラキラしていますが、数ヶ月でキラキラは落ちてライトグレー色になり、数年でグレーになります。RIFF houseにはピッタリの仕上げです。

RIFF houseはキッチンワークトップやダイニングテーブル、階段・ベンチ・デスクなどコンクリート製です。そのままの仕上げでも良いと思いますが、人の手の触れるところは左官屋さんで金ゴテで平滑に仕上げをして頂きました。

玄関ポーチのインターホン・ポストです。もちろんコンクリート壁に埋込みでデザインしています。ステンレス製のプレートで仕上げますが、仕上げの詳細はのちほど、、

上記の写真は2階空間を繋ぐ階段・廊下の床材です。2階の動線(洗面・トイレ・浴室以外)は全て木のルーバー床です。材種は加工性が良くとても強度があるアガチスを採用しています。本計画はラワン合板型枠のコンクリート打放しと内部間仕切り壁の仕上げは同種のラワン合板仕上げです。ただルーバー床にラワン無垢材だと少し強度が落ちるので、強度がある同じ南洋材で表情がとても似たアガチスを採用しました。内部建具の枠材もアガチスです。

コンクリートの片持ち階段から綺麗に光が漏れていますね。

次回は内装について書いていきたいと思います。