KADO | 模型を使ったイメージ共有の打合せ
設計が一定の段階に進んだとき、私たちが大切にしているのがイメージを共有するための打合せです。イメージパースや近しいデザインの参考写真をご覧いただきながら進める場合もありますが、今回は模型を使った打合せを行いました。
平面図や展開図である程度の情報はお伝えできますが、「空間として体験したときの印象」は、図面だけでは伝わりにくいものです。天井高の変化、壁を取り払ったときの開放感、光の入り方——そういった感覚的な要素を、模型を通じてできる限り具体的にご共有することが、この打合せの目的です。

今回の打合せでは、完成予定の住宅模型をテーブルに置き、様々な角度からご覧いただきました。今回の模型は縮尺1/20のスケールで制作してできる限り忠実に再現しています。「完成したら本当にこんな感じになるんだ」と、少しでもリアルにイメージしていただけるよう、お持ちの家具も含めて細部にもこだわって仕上げました。


玄関に入って正面に飾り棚を設けています。そこに以前の打ち合わせでこういったものを飾りたいと見せていただいた花器を表現しました。廊下の先にはリビングダイニングのガラス戸越しに家具をや窓を見ることができます。

リビングダイニングから一角に設けたお茶室、キッチン入り口、廊下をみたところです。

今回のプロジェクトは、「リビングダイニングに面した一角をお茶室にしたい」というご要望が、設計の出発点にありました。そのお茶室の設計を担当されている岩崎建築研究室の岩崎さんが模型を制作してくださいました。岩崎さんがお施主様へお茶室の模型をご覧いただいた後、本体の模型を制作する際にその模型をお借りして型取りを行い、お茶室部分だけ取り外しができるよう分けて制作しています。模型同士が連携したつくりになっており、空間全体のつながりもご確認いただけるようになっています。
岩崎さんが模型を作られているご様子はこちらのInstagramで紹介されています。
https://www.instagram.com/p/C8bZ1__vf3J/
https://www.instagram.com/p/C8bivh_Powf/

キッチンからダイニングへ向かう動線では床の間が正面に見え、ダイニングからも自然と視線が届く配置です。小上がりの畳に腰掛けてリビングの延長として使うこともでき、掛軸を飾ったり花を生けたりと、日常の中にさりげなく取り入れることができます。そして、ちょっと一服、と釜のお湯で薄茶を点てるひとときも。お茶のある豊かな日常——そんな設えが、設計次第ではマンションでも十分に叶えられます。

酒器のコレクションを飾りたいというご要望をいただいていたため、図面では黒皮のスチールプレートを棚板に使った飾り棚をご提案していました。木質系の壁面と黒皮スチールの組み合わせはイメージが掴みにくい素材感ですが、模型で表現したことでご提案のイメージが伝わったようです。


キッチンも更新をすることになっています。システムキッチンと組み合わせて棚やお持ちの家具を置いたイメージを模型でも再現してみました。


洗面脱衣室も細部までリアルに制作しています。二槽式洗濯機を導入したいとお聞きしていたため、事前に品番をお知らせいただき、実際のサイズ感で置いたときの印象を模型で表現しました。寸法の確認だけでなく、空間全体のバランスを確認していただけました。
こうした模型を囲んだこの打合せを経て、完成に向けた設計がいよいよ佳境に入ります。「こんな暮らしがしたい」という想いは、どんなに小さなことでも設計の大切な出発点になります。お施主様の暮らしのイメージが少しずつ形になっていく、その過程をともに歩めることが、設計の醍醐味だと日々感じています。