POPO house/室内壁の左官仕上げ。浴室を桧風呂へ変更!!?@プラネットジャパン関東支社

今回はPOPO houseの壁仕上げで検討しているドイツ漆喰 プラネットウォールの最終確認でプラネットジャパンの関東支社へ来ました。プラネットジャパンは自然素材の塗料や、左官仕上げで使われる漆喰など扱うメーカーさんです。日本でも古くから漆喰や土を用いて、寺社仏閣・住宅に至るまで自然の素材を用いて内外装の仕上げをしてきました。漆喰や土壁は耐火性はもとより、調湿・防臭効果もあり、様々な鉱物を混ぜることで色彩豊かな意匠性のある材料となります。以前、弊社でのプロジェクト”KAI house”で採用してこともあり、今回はお施主様とポポちゃんで実際にショールームでの見学となりました。

こちらはプラネットジャパンのアプローチ。かねてより見学したかった建物です。設計は無有建築工房の竹原義二先生の設計です。学生時代は作品集を何度も読みふけり、自身の設計課題に投影しました。内外における空間の構成や素材の扱い方、手書き図面の力強さや表現など、今でも参考にさせて頂いております。

アプローチの外構もスチールの構成でカッコ良いですね。このスチールの仕上げは1000℃以上の高温で成形し、表面が酸化して黒い被膜が作られます。この被膜が黒皮状態(塗装や錆止めをしていない無垢の状態)です。酸化した鉄は錆止めや塗装を施さないと、経年変化で錆が出てきます。建物の構造体に使用するには製作過程において様々な処理をしなければなりませんが、外構・家具や部分的な仕上げなど、時間を経て手触り感、唯一無二の色むらや素材感など、趣のある空間を作るには最良の仕上げです。(趣味趣向の個人差あり)

上記はショールームの様子。広々とした空間に様々の仕上げのサンプル、また実験的に製作したサンプルなどが展示されています。書籍も豊富なのでまるで書斎やギャラリーのような空間でした。コーヒーを飲みながら数時間居られそうです。。

ショールーム・オフィス内の仕上げも、木部や壁の仕上げなど、自社の仕上げ材をふんだんに使用しています。小さなサンプルだけでは納まりなど不明点もあるので、こうして実物大の仕上げで見ることができるのはとても分かりやすいですね。

上記は仕上過程の原寸模型の様子。内装用材の石膏ボード(右下側の緑色のボード)のジョイント部やビスの穴などをパテ埋めした後に、塗装用紙下地を貼ります。こちらはプラネットジャパン指定のドイツ製のKOBAUという紙下地です。プラネットジャパンの左官材は薄塗で仕上げるので、クラックやジョイント部分の割れを防止するため下地処理は重要です。

上記は実際にPOPO hauseで作成して頂いたサンプル。漆喰に細かく砕いた骨材(珪石)を混ぜて仕上げた後に、表面をブラシなどで削り取った仕上げです。これは洗い出し仕上げといって日本伝統の左官技術のひとつです。土間などの仕上げで玉砂利や石などが入った床仕上げを見かけることがありますよね。寺社建築や旅館や料亭など。現代建築でもよく見かけます。本来は洗い出しという名前通り、モルタルが硬化する直前に水で表面を洗い出し、骨材を表面に浮き上がらせる仕上です。

サンプルは漆喰(白)ベースに珪石と顔料(黒と茶色)を少し混ぜて、ライトグレーとベージュを混ぜたグレージュ色に仕上がりました。洗い出し仕上げや掻き落し仕上げにすることで凹凸ができ、手触り感のある陰影のある仕上げとなります。

上記のサンプルは骨材を入れず鏝塗り仕上げにしたものです。骨材を入れ、洗い出し仕上げにすると陰影が出すぎて、使い方によっては仕上げの主張が強く出る場合があるので、少し顔料を少なくした色見で鏝塗り仕上サンプルも作成して頂きました。

上記は白に近いですが、少しグレーを混ぜて柔らかな印象です。お施主様のご希望の色に近づきました。

こちらは社内のスタッフルーム。大阪に本社がある為、関東出張の際に利用しているるそう。室内壁の仕上げは社員さん自ら仕上げたそうです。実際に手を動かすことで素材の性質を知ることは重要ですね。

上記はオフィス部分壁仕上げ。こちらはプロの左官屋さんによる仕上です。色は少し異なりますがPOPO houseの仕上げと同様の仕上げでした。若干凹凸があるのでPOPO houseでは凹凸を押さえた仕上げにします。

オフィスのインテリアも塗装や左官など様々な仕上げを使っています。実際に体感出来て参考になります。

階段室はコンクリート打放し仕上げ。同時進行中のプロジェクト”RIFF house“もコンクリート打放しです。サッシ廻りの納まりなど参考にさせて頂きました。

上記はPOPO houseの左官仕上げの様子。ボード下地の上に紙下地を貼り仕上げていきます。塗厚は2~3mm程度です。

鏝波も極力少なくして押え仕上げにしました。

キッチン部分の異種仕上げとの取り合い。大変綺麗に仕上がっています。少しグレーが強いように感じますが、まだ塗りたてなので水分を多く含んでおります。半日程度で水分が抜けて明るいライトグレーになります。

こちらが仕上がりの様子。密に鏝を押さえて仕上げています。凹凸が少ない分上品で優しい印象に仕上がりました。

こちらはPOPO house竣工後の仕上がり。白い天井とほんのりグレーな壁との静かなコントラストが綺麗です。左官壁の主張もほどほどにバランスの良い仕上がりとなりました。

上記の写真は、プラネットジャパンの最上階の庭です。屋上緑化で気持ちいいですね。どこに居ても緑を感じる空間でした。

最上階の庭に隣接する浴室はTOTOのハーフユニットバスで壁・天井は桧仕上でした。

POPO houseの計画では、お施主様から浴室はそこまでお金を掛けなくても良いとのことでしたので、ユニットバスで計画しておりましたが、こちらの浴室を拝見後、「我が家もこれでいきましょう!」と思いがけないお言葉が!!? まとまりつつあったプランが設計変更となりました。。

ただ、桧の香りはやはりとても良い香りで、触り心地が良いんですよね。POPO houseの浴室は窓もありますので、通風に関しては問題なく、ほどよく乾燥状態を保てますので全く問題なしです。常に濡れている状態ですとカビの原因にもなるので、換気扇や浴室暖房乾燥機を併用することで木質仕上も可能となります。

ショールームの浴室は竣工後5年ほど経っているそうですが、今のところメンテナンスや補修はしていないそうです。

さて、現場にはハーフユニットバスが搬入されていました。ハーフユニットバスは、ユニットパンから上部を好きな仕上げにできるのでとても意匠性があります。木質仕上のみならず、タイル仕上げやガラス仕上げも可能です。

設置の様子。下地合板の上に防水処理を施します。ユニットバスは防水紙でも問題ないのですが、今回はより防水性のある塗膜防水を施していきます。

合板下地のジョイント部分には、シーリング処理を施したのち全体に塗膜防水を施していきます。弾性系の塗膜防水ですので、地震などの揺れにも追従性があります。

壁・天井の桧仕上の様子。濃いグレーの部分が塗膜防水です。天井の開口部は浴室暖房乾燥機とダウンライトの開口です。

完成。綺麗に仕上がりました。奥に見える既存のサッシ枠も桧仕上げとしています。浴室入口の框扉もデザイン・製作で桧仕上げにしています。ユニットバスではなく一から作り上げる在来工法も可能ですが、ハーフユニットバスすることでコストを押えつつも意匠的な浴室になります。