POPO house/衛生器具の選定と空間の印象を左右するタイルの選定
衛生器具の選定は、どのプロジェクトにおいても必ずお施主様をご案内して確認して頂きます。洗面ボウルや手洗器ひとつとっても、アンダーカウンター(カウンター下部設置タイプ)、オーバーカウンター(カウンター上設置タイプ)、ベッセル・ハーフベッセル(カウンター上置き型タイプ)など様々な形式があります。さらには角型でスタイリッシュモダンなタイプや、装飾が施されたクラシカルなタイプなど空間のデザインを決める上でも重要なアイテムの一つです。
POPO houseはリビング・ダイニングからキッチン、更には洗面室から浴室へと繋がる回遊性のある動線計画ですので、選定する機器も空間のデザインと合わせた機器の選定が重要となります。
まずはいつも機器選びで必ず訪れる乃木坂にあるセラトレーディングにてお打合せをしました。
上記はベッセルタイプ(カウンター上置き型タイプ)の洗面ボウルです。スイス製のLAUFEN(ラウフェン)というブランドでエッジがとてもシャープでスタイリッシュデザインですね。
上記の洗面ボウルもLAUFENのものです。一通りショールーム見て廻りまして、お施主様が気に入られた機器はLAUFENの機器でしたが、デザインの方向性としてシンプルな角型のベッセルタイプ(カウンター上置き型タイプ)かつ壁出しの水栓にするため、洗面ボウルや手洗器にはデッキ無し(水栓金物を設置する台座が無いもの)を探すことになりました。
別の日に南麻布にあるT-form(ティーフォルム)のショールームでの打合せです。T-formは衛生機器や建具のレバーハンドル・金物等のハードウェアを幅広く扱っています。先日セラトレーディングで見て頂いたLAUFENの機器も取り扱いがあるので再度確認です。
壁出しタイプの水栓機器もバリエーションが沢山ありました。上記の写真はイタリアミラノにあるFANTINI(ファンティーニ)社の水栓です。イタリアではトップブランドの水栓ブランドです。吐水口の形状などとてもシンプルでカッコ良いですね。
洗面ボウルと水栓機器を合わせてみました。洗面ボウルはLAUFENでと考えておりましたが、ショールームに展示があったCATALANO(カタラーノ)社の洗面ボウルで、幅75cm、奥行50cmととてもゆとりのある洗面ボウルに出会えました。CATALANOもイタリア製でシャープなデザインが特徴のブランドです。
こちらはトイレに採用するLAUFENの角型の手洗器。
POPO houseにはトイレが2つあるのでゲスト用のトイレに採用予定です。昨今のコロナ事情で、手を洗う際にゲストを洗面室には通さず、トイレで手を洗う運用にするために大きめな手洗器を設置するのは今後のライフスタイルの在り方としてとても重要です。
POPO houseと同時進行中の新築戸建住宅プロジェクト【RIFF house】のキッチンをコンクリートでデザインしているので参考にさせて頂きました。
続いてその足で、キッチン・洗面室の床材を見るために赤坂にあるリビエラへ。タイルや石などの建材を多く取り扱っています。
今までのお打合せで決定したフローリングやキッチン・洗面室で採用したカウンター材などのサンプルを持ち込み色や柄を合わせています。
リビエラの西井さんにタイルのメンテナンス方法や、実際に汚れを付着させてのお掃除方法など実演して頂きました。タイルのサイズも様々で20cm角や30cm角などのサイズが一般的ですが、その分目地(タイル同士の隙間)が多くなります。目地が多いということはその部分が汚れやすいとうデメリットもあります。モザイクタイルのような小さなタイルを採用することありますし、レンガ積みのようにタイルを互い違いに張るなど方法も様々です。目地割については空間デザインを左右する大変重要なものですので、お施主様が持っている空間イメージやライフスタイルに合ったデザイン、ご要望に合った大きさや柄などをご提案しています。
POPO houseは愛犬のポポちゃんと生活しているので、メンテナンス性を優先してできるだけ目地を少なくするために写真真ん中の120cm×60cmと大きめなタイルを採用しました。色や柄も赤系のフローリングとも合うライトベージュを選択しました。とても上品な色合いですね。
POPO house/オーダーキッチン打合せ@モービリティーポ
今回はキッチンのお話しです。
デザイン提案時のキッチンプランをベースに打合せを進めます。家事動線に回遊性を持たせ、一筆書きのような連続したプランを提案させて頂いたところ、大変興味を持って頂きました。
日常時では建具を開放することによって空間一体となる連続した空間で、また完全引込み戸によって個室空間にもなるフレキシブルなプランニングです。
上記写真はリビングからのキッチンイメージ。
デザイン提案時の模型写真です。まだ具体的な素材は確定しておらず、お施主様へのヒヤリング後に製作した模型です。壁面側とペニンシュラ(半島形式)の2列配置のキッチンです。アイランド型(島形式)やペニンシュラ型(半島形式)のキッチンは、リビング・ダイニングと一体とした広がりのある空間を成立させる場合にはとても有効なキッチン形式です。
キッチンから洗面室・浴室へと連続する通路。シーンによって引込戸で空間を仕切ることができます。建具枠が壁と一体化しているので建具の存在を消しています。
上記の写真は、弊社に設計のご連絡を頂く前に、実際にお施主様がキッチンショールームで見て頂いた写真です。木の面材と大理石のカウンタートップの組合せがとても気に入られており、このような組合せでキッチンデザインを進めます。
ご要望をヒヤリングした後のキッチンデザイン。平面図ではわかりにくい、素材のバランス・色見、収納の扉や引出しのデザインを、縦方向の図面を(展開図)描いてイメージの擦り合わせをします。平面図と展開図を合わせてみると、奥行き感や縦方向の収納量などがわかります。
上記の絵は、平面的な図面を描いた後に立体的なスケッチを描きました。空間全体においてキッチンがどう見えるか、素材同士の違和感が無いか、またバランスはどうかなど、総合的に検討します。模型では伝わらいない局所的な部分をイメージ化します。
お施主様が気に入られていた大理石カウンターと木の面材とを組み合わせたキッチンのイメージパース。当初のデザイン提案模型とは少し変わってきました。お打合せを重ね、徐々に素材が決まっていくと空間全体のデザインがより具体化します。
上記写真は、オーダーキッチンのショールームで、使い勝手やカウンターの高さ、収納量、素材やキッチン照明など綿密に打合せを進めます。POPO houseで協力頂くのはモービリティーポの徳永さん。いつも的確に助言を頂きとても安心です。
モービリティーポのショールームにあった家具の天板に、POPO houseで採用予定の大理石がありました。この天然石はエンペラドールダークというスペイン南東部産の大理石です。主にホテルや美術館などのエントランスやロビーの床材や壁材に使われる大理石で、とてもキメ細かい茶褐色の中にゴールドやホワイトが蜘蛛の巣のスジのように張り巡らされた表情豊かで奥行き感のある大変綺麗な大理石です。
しかし、本来大理石は炭酸カルシウムが主成分なので水廻りには適していない素材です。長時間水にさらすと白く粉を吹いたような状態になってしまいます。水廻りに採用する場合は、上記写真のような半艶仕上(水磨き)ではなく、鏡面仕上げ(本磨き)をしたものを採用します。POPO houseでは、ペニンシュラ側にシンクがあるのでカウンタートップへのエンペラドールダークの採用は避け、別の素材を探すことにしました。
コンロ側のカウンターはエンペラドールダークを採用します。ペニンシュラ側にも一部エンペラドールダークを使ったデザインにしたいので要検討です。デザインの見直しをしつつ、後日、実物の確認に関ケ原石材ツアーを予定しています。
POPO house/フローリング探し@AD WORLD
今回は空間のベースとなるフローリングを探しに、ヨーロッパの高級フローリングや建材を扱うADワールドへ。そして愛犬ポポちゃんが滑りにくい床材を探すという使命があります。
ショールームは吹抜けを介してスキップフロア形式になっており、エリア別に様々なブランド・素材に分けられており大変見やすいショールームです。
上記はフィンランド製のNORDO(ノルド)というオークフローリング。185mmと幅広で、大きな節も無く表情もとても綺麗で扱いやすいフローリングです。国内在庫品だそうで工期の短いプロジェクトでは重宝します。
こちらは、イタリア製のListone Giordano(リストーネジョルダーノ)のnatural geniusというライン。デザイナーによるパターンデザインで、大変楽しいデザインです。天井や壁面に使っても面白そうですね。
フローリング以外にも、突き板など様々なマテリアルがあります。今回の「POPO house」でも家具や壁面の仕上げに突板を使うのでとても参考になります。
弊社を担当して頂いてるADワールドの阿部さんの案内で色々と見せて頂きました。また実際にわんちゃんをフローリングの上を歩かせることができないかという相談にも、快く応えて頂きました。
お施主様はグレイッシュでスモーキーな色合いよりも、赤味のある素材がお好みでListone Giordano(リストーネジョルダーノ)のclassicaというラインのチークフローリングと、atelierというラインのオークフローリングの2候補まで絞りました。atelierは表面加工が豊富で、浮造りやスクラッチ・ブラッシング加工があり、素材そのものの個性・時間を経たような風合いを再現したフローリングです。
実際に窓辺に移動して外からの光で確認します。最終候補はListone Giordano(リストーネジョルダーノ)のatelierです。写真ではそれぞれ微妙な色の差ですが、表面加工の違いでも雰囲気が変わります。
最後にポポちゃんに実際に歩いてもらい、滑り具合や爪の引っ掛かりなどを確認します。シリーズによって表面加工が異なるのですべての種類で確認しました。
気に入ったのか、飽きたのか。落ち着いたようなので上記を採用。上品な色味でとても良いと思います。こうして広い面積を占める床材を最初に選定することで、空間全体の構成、他の仕上げ材の選定やカラーデザインの決定がしやすくなります。
Listone Giordano(リストーネジョルダーノ)のatelier。heritage-firo di lama。色はfiesole1125。表面を見ると細かなピッチで鋸引きされているのがわかるでしょうか?爪掛かりが良く、滑りにくいフローリングに出会えました。
イタリアで加工・塗装するので納期は4ヵ月程かかります。工期は3.5~4ヵ月程掛かるので着工してからでは間に合いません。なのでプランがFIXした段階で早急に先行発注を掛けます。
POPO house/デザイン提案
【POPO house】のPOPOとは、オーナーの愛犬ポポちゃんです。
ご子息が独立されたタイミングでお住まいのリノベーションのご相談を頂きました。
以前よりハウスメーカーの設計でリノベーションを検討していたそうですが、劇的に変わる空間の提案も乏しく、改めてイチからか考えたいと弊社にご依頼を頂きました。
まずはPOPOちゃんの紹介を。ポポちゃんは、シュナウザーとマルチーズとプードルのMIX犬で、シュナウザーの凛々しさも持ちつつ、まん丸な瞳と愛くるしい仕草でとっても可愛いわんちゃんです。
高齢ということもあり捻挫等のケガも多く、愛犬の為に腰を痛めないように滑らない床材を採用したいとのご要望がありました。
それと、夫婦二人と愛犬と暮らす為、できるだけ行き止まりのない回遊性のある開放的な空間にしてほしいと、ご要望をいただきました。
上記のスケッチは、事前に既存の資料(間取り図)をメールで送って頂き、お会いする前に弊社で検討した資料です。
玄関に入ってすぐに角度が振れており、決して広くはない空間をどのように内部空間と連続性を持たせるかが課題になりそうです。
A案・B案とも主寝室を奥に配置し、できるだけLDKを広く確保しました。A案のペニンシュラキッチン(半島形式)の配置は、洗面から浴室へと繋がる動線は使い勝手が良さそうですが、プライベートエリア(寝室)においては少し行き止まり感があります。B案はLDKと繋がるプライベートエリア(寝室)への回遊性は魅力的ですが、アイランドキッチン(島形式)のプランは少し開放的はではないですね。。
A・B案の折衷案で検討を進めることになりそうです。
何度かお会いしてヒヤリングを重ねた結果、奥様が以前より自分のお部屋を持つのが夢であり、ご子息が独立したこの度のタイミングで、各々個別の寝室を確保するアフタープランの方向で進めます。
となると、元々あった寝室の二部屋は極力既存の状態を維持し、あとは玄関からLDKへの連続性とキッチンから洗面・脱衣・浴室への動線を如何にまとめるかが鍵となります。
フルスケルトンで検討していましたが、極力既存部分を残すことでコストダウンにもなりますし、メイン空間にお金を掛けるという選択肢も増えてきます。
上記はの模型はある程度プランニングが落ち着いた後、素材の色や置き家具の配置、全体のバランスなどを再確認します。基本的にどのプロジェクトでも模型を製作してお施主様と確認をします。
リビングダイニングの様子。奥の玄関もガラスのドアで仕切り視覚的に閉ざすことなく連続性のある空間となっています。
キッチンからリビングダイニングを見ています。壁面のデザインや造作家具のデザインも模型で確認し、立体的なイメージを膨らませます。
ペニンシュラキッチン(半島形式)の様子。既存はセミクローズドだったキッチンをリビング・ダイニング方向に向けることで、開放性のある一体的な空間となります。
キッチンから洗面・脱衣・浴室を見ています。キッチンと洗面の間には隠し引込み戸が設置されており、シーンによって空間を分けます。プライベートな空間を確保しつつ、連続性のある空間をデザインしました。
これから内部空間を彩る仕上げの選定・各部のデザイン・ディテールの検討、設備機器・家具の選定など本格的にスタートします。お施主様とポポちゃんとショールーム巡りの旅に出ます。
POPO house/現地調査からスタート
新しくマンションリノベーションのプロジェクトがスタートしました。
新築当時からお住いの築15年のマンションを、お子さんが独立されたタイミングでご夫婦とワンちゃんが一緒に住みやすい空間へ変更したいと考えるようになったとのことでご依頼をいただき、まずは現地調査に伺ってきました。
扇型が特徴の住戸で、リビングは角度がついた五角形の間取りです。そのため、リビング・ダイニングには南東から南西の光が入ってきます。なかなか家具の配置にしっくりこなくて悩んでいるとのことでした。
左手エントランスホールからクローズドのキッチン、その隣はダイニングです。(ペンダント照明が下がっているあたりです。この時はダイニングテーブルは移動してくださっていました)
クローズドのキッチンはいろんなものが隠せるのがよいところですが、ダイニングからのお食事の準備やお片づけをする時に行ったり来たりで移動距離が多くなってしまうのが難点です。
玄関からホールを見たところです。扇型間取りの根元部分になるため、ホールから各室へつながる廊下も角度が振られています。接続するお部屋のドアや収納の扉が一緒にたくさん目に入り、ホールとしてはちょっと落ち着かない印象を受けます。この辺りもデザインの組み替えをしてあげるとよいなと思いました。
一通り現在の状況を確認しつつ、実測調査をしたり、マンションの管理事務所からも既存図を見せてもらって、設備の配管系統を図面と現地で確認していきました。既存情報がしっかり残っておりましたので、かなりの精度で既存情報の整理ができそうです。4週間ほどいただき、次回はデザイン提案をさせていただくことになりました。