リノベで解決! 50代からの家と暮らし。掲載
6月14日発売の「リノベで解決! 50代からの家と暮らし。」に“POPO house” を掲載していただきました。
「リノベで解決! 50代からの家と暮らし。」は、扶桑社のリノベーション専門誌『リライフプラス』による、50代以上の方に向けたの特別編集版のムック本です。
“POPO house” もお子さんが独立したことをきっかけに、ご夫妻と愛犬POPOちゃんにとって快適に過ごせる理想の住まいとなるよう、お手伝いしたリノベーションプロジェクトです。
最近私たちがお手伝いさせていただいているリノベ案件も、お子様が独立したタイミングや、
終の住処としてリノベした後の生活の変化にも対応できる年齢である、50代から60代でお考えになる方が多く、
最近特に身近に感じていることもあり、今回の特集はぜひ色々と参考にできればと思います。
せっかくなので、取材時の撮影風景を少し。
お施主様とポポちゃん、みんな笑顔で撮影中とても朗らかな様子が、ファインダー越しにも伝わってきます。
リライフプラス編集長の君島さんとハクの関も一緒にカメラマンさんの撮影を見守っております。
詳細はこちらからどうぞ → https://amzn.asia/d/hU7Ucp5(Amazon)
本屋さんで見かけたらぜひお手に取ってご覧になってみてください。
POPO house/いよいよ着工です!
POPO house 着工しました。寝室や廊下・プライベートトイレの一部を除き、スケルトン状態からの工事です。工事部分は約80㎡程度で、工期は約4ヵ月程掛かります。
解体中の様子。寝室側からLDKを見ています。寝室とLDKの壁は遮音壁にすることと、壁の移動を伴うため壁を解体し作り直します。赤いラインが新たに造作する壁位置。(ラインより左側が寝室)
上記写真は着工前のリビング・ダイニング。クローズドのキッチンをオープンキッチンにリノベーションします。オープンキッチンにすることでリビング・ダイニングと一体となったおおらかな空間を目指します。
スラブ段差と既存配管の様子。スラブ段差がある場所は段差の境界部分に往々にして躯体(梁)があるので、コンクリートを削ったりすることは絶対にNGです。マンションリノベーションの場合、多々ある制約の中でいかに設備等をうまく納め、デザインに昇華していくことはとても重要なプロセスです。
上記写真は給水管です。湯水が一見してわかるように青と赤の給水管に分けられています。昔は鋼管などで配管しておりましたが、近年のほとんどは錆の発生しないポリエチレン管に切り替わっています。築年数が古い建物場合は、鋼管を採用していることが多いため、鋼管の場合は新規にポリエチレン管に変更することもあります。
数日後の解体後確認。現場は綺麗に整理されています。また新設の配管も設置されておりました。写真右側の緑色のポリエチレン管は床暖房用の配管です。
空調配管の確認風景。キッチン上部(天井内)には空調配管やレンジフード、換気扇など配管が密集するため、設計図と合わせて指さし確認を行います。天井中央から吊られているの黒いボックスはダイキンのココタスというエアコンで、洗面室ような小空間や、面積の大きい一体空間の補助エアコンとして採用しています。
上記の機械は空調設備です。エアコンというと住宅では一般的に壁掛け式のルームエアコンや、天井埋込式のエアコン(通称天カセ)がありますが、今回のPOPO houseでは壁や天井に機器ができるだけ露出しないように、吹出し口と機器がセパレートしているビルトイン方式(ダクト方式)を採用しました。吹出し口と機械とをダクトで接続しているので、機械自体は収納内やパントリー内などに設置することができるので、リビングなどに設置されるのは吹出し口のみでスッキリとしたデザインを実現できます。
上記写真は完成後の様子。2重天井の間に吹出し口が2箇所設置されているのがわかるでしょうか?グリルの色も特注色で、壁と同色で塗装しているのでとてもスッキリとした印象ですよね。この方式が必ずしも良いというわけではなく、設置条件や空間デザインによって壁掛け方式や天井埋込方式を使い分けています。POPO houseでは天井面を広く、スッキリとした天井デザインのため、ダクト方式を採用しています。
上記は墨出しの確認です。解体後、間仕切り壁の位置や家具の位置などを床や壁に線を引き可視化させます。お施主様にも同席して頂き、通路の幅などが問題ないかを一緒に確認していきます。このタイミングで壁位置や造作家具の大きさの変更の可能性もありますので、必ずお施主様には同席して頂き確認します。
今回工事を行わない既存の寝室とLDK側の床の境界です。この境界壁は遮音壁にするので、床下地の上に壁を作るのではなく、直にスラブ(コンクリート床)の上に壁を作ります。遮音壁の場合、木の下地の上に壁を作ると、音が壁から床へと伝搬し振動(音漏れ)するので、遮音壁は床スラブと天井スラブを下地として壁を造作します。遮音壁の内部構造については、次回のブログでご説明します。
既存利用するドア。寝室空間は既存のままですが、遮音壁を設置するために壁を作り直す関係で、ドアを外して保管します。ただ建具枠については既存利用ができないため。枠のみ製作することとなりました。
上記の写真ですが何に使用するでしょうか?
実はこれ、、巾木です。巾木は床と壁の取合い部分に設置することで壁の保護に採用されています。一般的には木製や樹脂製の板で高さは6cm程度です。お住まいのお部屋を確認すると必ずといってよいほど設置されています。ただ既製品を使っても芸が無いですし、デザイン的に優れた巾木ってあまりないんですよね。。巾木一つをとっても空間のデザインを左右する要素ですので、こちらも納め方について設計中は毎回議論になります。
POPO houseの壁仕上は左官仕上げ(塗り壁仕上げ)なので、取って付けたような巾木は採用しません。でも壁の保護は重要ですので巾木レスにもしません。できるだけシンプルに納めるのと、空間の仕上げの要素を最小限に抑えるため、工業製品のL型のアルミアングルを採用しました。アングルを床から1.5cm程度浮かして壁に設置することで、床と壁の縁を切り、経年による左官壁の隙間や拭き掃除等における壁の汚れ等を防止します。コーナー部分は1~2mm程度のR形状として足先の怪我防止対策をしています。アングルはアルミ色ですが、壁の左官色と同色で焼付塗装を施します。まずはモックアップ(原寸模型)を何種類か製作して頂き確認させて頂きました。
コロナ禍の工事ですので、玄関前には検温・消毒チェックのカードが置かれておりました。コロナ禍での予防策も徹底的で安心して工事を進められそうです。ありがとうございます。
POPO house/室内壁の左官仕上げ。浴室を桧風呂へ変更!!?@プラネットジャパン関東支社
今回はPOPO houseの壁仕上げで検討しているドイツ漆喰 プラネットウォールの最終確認でプラネットジャパンの関東支社へ来ました。プラネットジャパンは自然素材の塗料や、左官仕上げで使われる漆喰など扱うメーカーさんです。日本でも古くから漆喰や土を用いて、寺社仏閣・住宅に至るまで自然の素材を用いて内外装の仕上げをしてきました。漆喰や土壁は耐火性はもとより、調湿・防臭効果もあり、様々な鉱物を混ぜることで色彩豊かな意匠性のある材料となります。以前、弊社でのプロジェクト”KAI house”で採用してこともあり、今回はお施主様とポポちゃんで実際にショールームでの見学となりました。
こちらはプラネットジャパンのアプローチ。かねてより見学したかった建物です。設計は無有建築工房の竹原義二先生の設計です。学生時代は作品集を何度も読みふけり、自身の設計課題に投影しました。内外における空間の構成や素材の扱い方、手書き図面の力強さや表現など、今でも参考にさせて頂いております。
アプローチの外構もスチールの構成でカッコ良いですね。このスチールの仕上げは1000℃以上の高温で成形し、表面が酸化して黒い被膜が作られます。この被膜が黒皮状態(塗装や錆止めをしていない無垢の状態)です。酸化した鉄は錆止めや塗装を施さないと、経年変化で錆が出てきます。建物の構造体に使用するには製作過程において様々な処理をしなければなりませんが、外構・家具や部分的な仕上げなど、時間を経て手触り感、唯一無二の色むらや素材感など、趣のある空間を作るには最良の仕上げです。(趣味趣向の個人差あり)
上記はショールームの様子。広々とした空間に様々の仕上げのサンプル、また実験的に製作したサンプルなどが展示されています。書籍も豊富なのでまるで書斎やギャラリーのような空間でした。コーヒーを飲みながら数時間居られそうです。。
ショールーム・オフィス内の仕上げも、木部や壁の仕上げなど、自社の仕上げ材をふんだんに使用しています。小さなサンプルだけでは納まりなど不明点もあるので、こうして実物大の仕上げで見ることができるのはとても分かりやすいですね。
上記は仕上過程の原寸模型の様子。内装用材の石膏ボード(右下側の緑色のボード)のジョイント部やビスの穴などをパテ埋めした後に、塗装用紙下地を貼ります。こちらはプラネットジャパン指定のドイツ製のKOBAUという紙下地です。プラネットジャパンの左官材は薄塗で仕上げるので、クラックやジョイント部分の割れを防止するため下地処理は重要です。
上記は実際にPOPO hauseで作成して頂いたサンプル。漆喰に細かく砕いた骨材(珪石)を混ぜて仕上げた後に、表面をブラシなどで削り取った仕上げです。これは洗い出し仕上げといって日本伝統の左官技術のひとつです。土間などの仕上げで玉砂利や石などが入った床仕上げを見かけることがありますよね。寺社建築や旅館や料亭など。現代建築でもよく見かけます。本来は洗い出しという名前通り、モルタルが硬化する直前に水で表面を洗い出し、骨材を表面に浮き上がらせる仕上です。
サンプルは漆喰(白)ベースに珪石と顔料(黒と茶色)を少し混ぜて、ライトグレーとベージュを混ぜたグレージュ色に仕上がりました。洗い出し仕上げや掻き落し仕上げにすることで凹凸ができ、手触り感のある陰影のある仕上げとなります。
上記のサンプルは骨材を入れず鏝塗り仕上げにしたものです。骨材を入れ、洗い出し仕上げにすると陰影が出すぎて、使い方によっては仕上げの主張が強く出る場合があるので、少し顔料を少なくした色見で鏝塗り仕上サンプルも作成して頂きました。
上記は白に近いですが、少しグレーを混ぜて柔らかな印象です。お施主様のご希望の色に近づきました。
こちらは社内のスタッフルーム。大阪に本社がある為、関東出張の際に利用しているるそう。室内壁の仕上げは社員さん自ら仕上げたそうです。実際に手を動かすことで素材の性質を知ることは重要ですね。
上記はオフィス部分壁仕上げ。こちらはプロの左官屋さんによる仕上です。色は少し異なりますがPOPO houseの仕上げと同様の仕上げでした。若干凹凸があるのでPOPO houseでは凹凸を押さえた仕上げにします。
オフィスのインテリアも塗装や左官など様々な仕上げを使っています。実際に体感出来て参考になります。
階段室はコンクリート打放し仕上げ。同時進行中のプロジェクト”RIFF house“もコンクリート打放しです。サッシ廻りの納まりなど参考にさせて頂きました。
上記はPOPO houseの左官仕上げの様子。ボード下地の上に紙下地を貼り仕上げていきます。塗厚は2~3mm程度です。
鏝波も極力少なくして押え仕上げにしました。
キッチン部分の異種仕上げとの取り合い。大変綺麗に仕上がっています。少しグレーが強いように感じますが、まだ塗りたてなので水分を多く含んでおります。半日程度で水分が抜けて明るいライトグレーになります。
こちらが仕上がりの様子。密に鏝を押さえて仕上げています。凹凸が少ない分上品で優しい印象に仕上がりました。
こちらはPOPO house竣工後の仕上がり。白い天井とほんのりグレーな壁との静かなコントラストが綺麗です。左官壁の主張もほどほどにバランスの良い仕上がりとなりました。
上記の写真は、プラネットジャパンの最上階の庭です。屋上緑化で気持ちいいですね。どこに居ても緑を感じる空間でした。
最上階の庭に隣接する浴室はTOTOのハーフユニットバスで壁・天井は桧仕上でした。
POPO houseの計画では、お施主様から浴室はそこまでお金を掛けなくても良いとのことでしたので、ユニットバスで計画しておりましたが、こちらの浴室を拝見後、「我が家もこれでいきましょう!」と思いがけないお言葉が!!? まとまりつつあったプランが設計変更となりました。。
ただ、桧の香りはやはりとても良い香りで、触り心地が良いんですよね。POPO houseの浴室は窓もありますので、通風に関しては問題なく、ほどよく乾燥状態を保てますので全く問題なしです。常に濡れている状態ですとカビの原因にもなるので、換気扇や浴室暖房乾燥機を併用することで木質仕上も可能となります。
ショールームの浴室は竣工後5年ほど経っているそうですが、今のところメンテナンスや補修はしていないそうです。
さて、現場にはハーフユニットバスが搬入されていました。ハーフユニットバスは、ユニットパンから上部を好きな仕上げにできるのでとても意匠性があります。木質仕上のみならず、タイル仕上げやガラス仕上げも可能です。
設置の様子。下地合板の上に防水処理を施します。ユニットバスは防水紙でも問題ないのですが、今回はより防水性のある塗膜防水を施していきます。
合板下地のジョイント部分には、シーリング処理を施したのち全体に塗膜防水を施していきます。弾性系の塗膜防水ですので、地震などの揺れにも追従性があります。
壁・天井の桧仕上の様子。濃いグレーの部分が塗膜防水です。天井の開口部は浴室暖房乾燥機とダウンライトの開口です。
完成。綺麗に仕上がりました。奥に見える既存のサッシ枠も桧仕上げとしています。浴室入口の框扉もデザイン・製作で桧仕上げにしています。ユニットバスではなく一から作り上げる在来工法も可能ですが、ハーフユニットバスすることでコストを押えつつも意匠的な浴室になります。
POPO house/至極のエンペラドールダーク選びの旅。@関ケ原石材 @アントリーニギャラリー
今回はキッチンワークトップ及びゲスト用トイレに採用するエンペラドールダークの選定に、岐阜県の関ケ原石材本社・工場にやってきました。お施主様とポポちゃん、施工をお願いする一隆建築さんの塚原社長と担当の太田さん、弊社後藤さんと関で至極のエンペラドールダークを探します。
またイタリアの石材トップブランド、アントリーニギャラリーも本社内にあるのでこちらも見学させて頂きました。
※アントリーニギャラリーは撮影不可です。自然のアートを体感しとても勉強になりました。オンラインでアントリーニギャラリーを体感できますので、是非体感してみてください。
→アントリーニギャラリーはこちらからどうぞ<Online>Antolini Stone Gallery
工場内の様子。場内の広さは圧倒的です。
まだ加工される前の原石が保管されています。宝の山ですね。
手前から2番目のフルスラブ(切り出し後に成形・表面加工を施した状態。サイズは約3m×1.5m)ですがパタゴニアという花崗岩(御影石)です。大胆な表情の中にも抽象画のような繊細さを持つとても素敵な石です。
御影石というと墓石のイメージがありますが、パタゴニアの表情には圧倒されます。短時間で圧縮された物質と、時間を掛けて圧縮された物質のコントラストが絶妙です。
※ちなみにこちらは現在進行中のプロジェクトで採用予定です。
加工の様子。まさに切り出しの最中です。この塊からおおよそ2cm~3cmの厚みで切り出されます。
この大理石はカラカッタでしょうか。カラカッタにも沢山の種類があります。壁面仕上げやキッチンカウンターによく合いそうですね。
POPO houseで採用するエンペラドールダークのお目見えです。
POPO houseのキッチンワークトップで使用するスラブは2枚必要なので、異なる表情のスラブを3種類(計6枚)用意して頂きました。
1枚目。黒と白のコントラストが強く、細胞のような網目が目を引きますね。
このスラブとても綺麗ですが、茶色の物質が少ないので見送ります。
2枚目。茶色の物質も多く採用予定の柄にとても近いです。
しかし磨き前なのか少しくすんでいるような気がします。白濁が多いのでこちらも見送ります。
3枚目。大分イメージに近い模様です。白濁も少なく微細な網目模様もびっしり入っているので良いですね。
先の2枚より上品な印象です。こちらに採用決定。(個人的には1枚目も好き。)
縦横に走る網目の柄は堆積時に有機物が混入してできた柄だそうです。自然の力は圧倒的ですね。
採用するスラブが決まったらその場で仮板取りします。
マスキングテープを用いてカウンターに採用する想定の柄を可視化します。
平行に2本テープが貼られている部分は、カウンター天板と前垂れ(立ち下り)の部分です。
このように板取をすると平面と垂直面の柄が繋がります。2cmの板でも立体的な塊に見せることができます。
ということは、まるで塊から切り出したような厚みを持ったカウンターになります。
有機物の痕跡は脆く欠けが非常に多いです。この部分は樹脂等を用いて穴埋めをします。
板取り後の様子。このようにして2枚のスラブから板取りが出来ました。2枚のスラブ間に「ツナゲル」とありますが、これは同じ石材を2つに割いているので実は同じ柄です。左右対称にすることで柄が繋がるのです。これをブックマッチと言います。ですので今回は3種類のスラブのブックマッチで計6枚を用意していただきました。
最後はお施主様とポポちゃん、施工会社の一隆建築さんと弊社で記念撮影です。
(コロナ禍の為、マスク姿で失礼します。)
工場内には様々な天然石がありました。こちらはサハラノワール。とてもモードな印象でドレスやシャツの柄に採用しても面白そう。
こちらは蛇紋岩ですかね。水彩画や水の流れのようで綺麗な石です。
カラカッタチエロ?オロビコネーロ?水墨画のようで美しい。
ピアノフォルテ。ピカソのゲルニカみたい。大胆でスタイリッシュですね。
マウンテンバーニー。凄いですね! 地球の偉大さを感じます。石の中央の隆起しているところは断層ですかね。寄木細工みたいです。この色味、大型犬のバーニーズ・マウンテンの由来なのでしょうね。
場内をくまなく見学させて頂きました。最後にアントリーニギャラリーの一画のミーティングールームで最終打合せをしました。
なんとPOPO houseのオーバーカウンターの1/1スケールのサンプルを作成頂いておりました!
ありがとうございます!サンプルでもわかる通り、2cm厚の板材が柄の繋がる立体的な塊になっています。
とても綺麗ですね。イメージ通りです。
左側スラブ。事務所に戻り、関ケ原石材で採用したエンペラドールダークの写真をもとに、正確な板取図を作成しました。
右側スラブ。白抜きの部分はガスコンロが入る為、切り抜きます。
切り出したスラブをカウンターイメージとして可視化しました。このような経緯を経て発注・加工へと進みます。
完成後のキッチン。全体のインテリアデザインとエンペラドールダークのカウンターが良く合いますね。
完成後のキッチン。大理石でもデザインコントロールすることで、嫌みのないバランスの良い空間に仕上げられます。
ゲスト用トイレ。こちらのカウンターもエンペラドールダークです。
個室空間のデザインもバランスよくまとまりました。
エンペラドールダークで使わなかった一部分をポポちゃん用に少し分けてもらえないかとお願いしたところ、関ヶ原石材さんのご厚意で、ポポちゃんサイズにカットして一緒に送付してくださいました。
石材のひやっとした感触をポポちゃんも気に入ってくれたようで、夏の暑い時期にエンペラドールの上でくつろいでくれているようです。(ポポちゃんくつろぎ写真はお施主様から送っていただきました。)
POPO house/カウンター材選定とガラス建具の選定@コンフォート
今回はペニンシュラ(半島形式)キッチン側のワークトップと洗面カウンターの選定です。キッチンコンロ側のワークトップは以前ブログで書きましたが、エンペラドールダークという天然石を採用します。反対側のペニンシュラ側はシンクがあり水廻りの為、吸水率が低く、硬度の高い別の素材を検討中です。
今回のショールームは白金台にあるコンフォート(※現在は大手町に移転)にお邪魔しました。コンフォートはカウンターのワークトップに使う石材やオーダードア、フローリング材など国内外の製品を扱うメーカーです。
まずはキッチンのカウンターの選定です。茶色い石材はコンロ側のカウンターに使うエンペラドールダークのサンプルです。それに合わせているのがクォーツストーンといって二酸化ケイ素の結晶であるクォーツ(石英)を90%以上含んだ人造石です。天然素材でありながら汚れや傷に強く、さらには吸水率が低く、硬度も高いため、水廻りや床・壁など様々な場所に使うことができます。ただし樹脂を含んでいるので火気使用室(※キッチンコンロ側の壁面)には採用ができませんが、それを除けばオールマイティーに使うことができる材料です。※日本における消防法の規定
上記の写真はクォーツストーンである、コンフォートが扱うシーザーストーン。濃い茶色の天然石と合わせるため明るく表情の優しいベージュ系の石材を選択。Shitake_シイタケという名前です。
窓際の明るい場所に移動し色・柄を再度確認。ワークトップの上部にオーバーカウンターとしてエンペラドールダークを使うのでバランスを確認中。サンプルの下に白い洗面カウンターがありますが、これもシーザーストーンです。表情も天然石に近く、とても高級感がありますね。
次は洗面カウンターのシーザーストーンを選定中。洗面室は北側であまり日が入らない場所なので、明るい白系を選定。ただ真っ白にしてしまうと空間に合わないため、少しくすみがあり、ほんのり石の斑が入ったものを採用します。上記の4011 Cloudburst Concrete_クラウドバーストコンクリートに決定。
コンフォートにはドア、ガラス間仕切り戸なども扱っています。POPO houseでは玄関とリビングダイニングの間でガラス引戸を検討しています。上記写真はRAIKI(ライキ)というガラス間仕切り戸。アルミフレームで上吊りのためとても軽いです。ガラスの種類やフレームカラーも豊富で、どのような空間にも合わせることができます。
上吊りレールの納まり。天井面に上吊りレールが設置されますので結構目立ちます。レールの存在をできるだけ消す為には、納まりにひと工夫必要そうです。
上記の写真のように、カラーガラスや和紙調のフィルムを貼ったもの、またフレームもとても細く繊細なディテールです。ガラスの代わりに大判タイルを設置することもできます。アルミフレームの溝幅(ガラスが入る部分)に納めることができれば、ある程度はオリジナルデザインが可能です。
POPO houseでは、ご主人が自宅でワークアウト(フィジカルトレーニング)をするためにガラス部分を鏡張りでデザインしています。室内が視覚的に広がりますのでインテリアデザインの方法としてはとても有効です。ただし一般的な鏡を採用してしまうと、鏡のキラキラが主張されてしまい空間の連続性が損なわれるので、トーンを落としてグレー色やブロンズ色の鏡をお勧めしました。
RAIKI(ライキ)での検討を進めていましたが、玄関側(鏡張りの裏側)はビニルシート張りやクロス貼り等の仕上げしかできなかった為、今回は断念しました。玄関側のデザインは玄関ドア開けたときに最初に目に入る重要なところなので、もう少し意匠性のあるデザインが必要です。
お施主様から高級感のある素材という希望もありましたので、こちらの建具も弊社のデザインで製作することになりました。玄関側は木目調ビニルシート等ではなく、天然木張りで高級感を持ちつつスッキリとしたシンプルなデザインを目指します。
上記の図面は、弊社が見積の為に作成した図面です。リビングダイニング側はグレーの鏡を採用しています。玄関側は特注の引手のデザインと合わせ、鏡張りとビニールレザーを合わせながら、天然木の突板仕上げとしています。突板仕上げ部分では、引手の下部に合わせて目地を入れることによって、さりげなく統一性のあるデザインとなっております。
上記の図面は弊社で作図した設計図をもとに、発注前に作図してもらい承認します。この図面は製作図といって、現場の状況を改めて採寸し、正確な寸法をもとに図面化します。今回ご協力頂いたアレスさんは建具工事と家具工事を担当しています。
こちらは完成後の玄関側のドアデザイン。天然木張りの面材の産地はアフリカで、サペリという広葉樹の木材です。特徴は赤みがあり木目が非常に綺麗で光沢のある木材です。建具や家具・楽器、主にギターなどの表板に多く採用されています。マホガニーととても似ていることから代用として扱われることが多いです。
こちらは完成後のリビングダイニングのドアデザイン。グレー色の鏡を採用しました。建具のフレームも極力細くして建具の印象を和らげています。見付面の厚みは12mm。RAIKIのアルミフレームと同じ厚みです。アルミやスチールを採用しなくとも、木のフレームでも見えがかりのデザインによって繊細に表現することができます。