RIFF house/地鎮祭

初めて敷地を訪れてから約1年半、はれて地鎮祭を迎えることができました。
敷地は宅地造成がすでに完了しており、地下階に駐車場を持つ住宅です。

多摩丘陵上に位置するこの地域は全域に起伏に富んだ地形で、平坦な土地は川沿いの地域や台地上のごく狭い地域のみで坂の多い環境です。

地鎮祭は土木工事や建築工事の起工前に行い、土地の守護神を祀り、土地の利用のご報告、工事の無事を祈る安全祈願祭です。

神主によるお祓い、祝詞を経て、施主・設計者・施工会社によって地鎮の儀を行います。写真はお施主様による鍬入れの儀の模様です。

こちらは鎮物というもので、着工後、基礎工事の前に建物の中心に埋めます。

最後に関係者による記念撮影です。お施主様をはじめ、施工を請け負ってくださった栄港建設の岡田社長、現場監督の中原さん、お手伝いに来てくれた林さん、福井さん。ありがとうございます。いよいよ着工となりますがよろしくお願いいたします。

敷地の間口は約6m、奥行き20mで、北側には中層マンション、両隣には住宅がすでに建っておりますが南側は高い建物もなく、視線が抜け空がとても広いです。

RIFF house/ 模型検討

RIFF houseのお施主様は、我々と同じ建築設計の設計者です。ご主人が構造設計者で、奥様が環境設備設計者という、オール建築家によるなんともワクワクする計画です。

本計画の初期の提案模型です。
近隣は3方建物に囲まれており、唯一眺望の良い南側に向けて開放性を持たせた計画です。敷地の間口も狭いこともあり、純粋な木造で計画してしまうと、内部空間に柱や壁が出てくるため開放性のある空間を確保することが困難になります。本計画は外殻をコンクリート造で作り、コンクリートの壁と壁の間に木の梁を渡して床組みを構成することで、内部空間に柱が出てこない、コンクリート造と木造のハイブリッド構造で設計がスタートしました。

コンクリートの外壁は断熱性能が高い外断熱工法を採用しています。

当初外断熱の工法は、繊維強化セメント板と押出発泡スチレン断熱材を複合したコンクリート型枠兼用の断熱パネルを検討していました。型枠兼用というのは型枠材がそのまま仕上材になるため、資材の節約、工期の短縮というメリットがあります。しかしながら、通常はコンクリートを打込んだ後に型枠を外し、打設後のコンクリートの状態を確認できるのですが、この工法ではコンクリート打設後の状態を確認できない、竣工後に不具合などがあった場合、メンテナンスがしにくいなどというデメリットもあります。

事前に施工会社の方々から意見を伺って、上記の懸念をヒアリングした結果、本計画はコンクリートを打設後に外断熱を張る、東邦レオの湿式外断熱システムエコサームを採用することになりました。

南側のアウトドアリビングの様子。塀などで囲わずに植物の成長によって緩やかに視線を遮り、色とりどりな植物に囲まれる場所作りをしています。

リビングからアウトドアリビングの眺め。左奥は階段兼デスク、さらには縁側まで繋がり、アウトドアリビングに開放されます。どこに居ても自然が感じられる空間です。内部はコンクリート打放しと木の構造の組み合わせのシンプルな仕上げで、空間構成は狭いながらもスキップフロアによってできる空間が縦横に繋がり、動作に応じて視線が変化します。どこに居ても家族の気配、光や空気の流れを感じられる空間を設計しました。

当初はコンクリートと木の混構造でしたが、様々な条件が重なり純コンクリート造に計画が変更になりました。コンセプトは初期の計画から変えていません。より要素を削ぎ落したストイックな「素」の建築になると思います。

今後、工事の進捗や設計のプロセスなど少しづつブログに綴っていこうと思います。

SUG house/relife+ (リライフプラス) vol.38 掲載

雑誌 relife+ (リライフプラス) vol.38 の【巻頭特集】「リノベ成功の鍵は収納のアイデアにあり!」に“SUG house” を掲載していただきました。
SUG house”は、マンションでよく見られる廊下と個室でつないだ一方通行で行き止まり感が感じられる3LDKプランを、ゆとりのあるスケール感に組み変え回遊性のある動線で繋ぎなおしたリノベーションです。
お施主様へのインタビュー後、どのように生活しているか日常風景を再現していただき、お施主様がモデルになって撮影してもらいました。
宜しければ、本屋さん等でお手に取ってご覧になってみてください。

YM house/軽量鉄骨下地確認、仕上げ材打合せ

本日はお施主様と軽量鉄骨下地材の確認と、仕上げ材の再確認をしました。

軽量鉄骨とは壁・天井の下地骨組みのことで、Lihgt Gauge Steel といい、規格化された軽量の鉄骨下地材です。現場では軽鉄下地、LGS下地と呼ばれます。なぜこの段階でお施主様と現場にてお打合せをするかと言いますと、仕上げはまだですが空間の骨格が出来ているので、部屋の広さや天井の高さなど、実際に空間のスケール感を体感して頂き仕上げの材質や色などを決定していきます。

上記は寝室の様子です。前回ブログでも書いたように、奥側の天井は梁型を隠すように、変形したLGS下地が組まれています。

こちらは間接照明を仕込むために天井を折上げ形状としています。

床の取合いです。写真を見ると板材が4層に見えます。下から遮音材+捨張り合板+床暖房用合板根太+さらに床暖房保護用の捨張り合板が張られています。この上に仕上げのフローリング材が張られます。手前のコンクリート下地部分はタイルを張る計画です。

マンションの多くは下階に振動が伝わらないように遮音材を敷きます。マンションによって管理規約で遮音等級が規定されており、こちらのマンションではフローリング部分の床材の張替についてはLL-45以上の床衝撃遮音性能を求められていました。遮音材は複合フローリングの場合はLL-40の遮音性能を確保でき、床暖房へも対応しているアトピッコハウスのわんぱく応援マットを採用しています。

設計段階でベースカラーやお好みの色合いなどは決定していますが、候補の材料全てを現場に持ち込み、再度お施主様と現地の状況に合わせて確認していきます。

これらを床・壁・天井に実際に合わせて消去法で決定していきます。

LDKからの眺め。周辺は高い建物が無く、遠景には高層ビルが見えます。コントラストがとても素晴らしい眺望です。

YM house/解体後の取合い確認

解体後の現場確認です。既存の設計図を基に設計を進めていますが、マンションの建築中に配管ルートやスラブ(コンクリートの床)の段差などが変更されることが往々にしてあります。それらの変更は建物の竣工図に反映されていない場合が結構ありますので、竣工図と現場を照らし合わせながら入念に現場の確認をします。既存の状況によってはデザイン・設計の変更をすることもあります。

LDKの様子。基本的に壁・天井ボードは既存のままとし仕上げのみの変更です。床はすべて撤去し、床暖房専用のフローリングが張られます。右手はキッチンスペースで代官山にあるキッチンメーカーのクチーナで製作する計画です。

キッチン工事でダイニング側とキッチン側にそれぞれ面して背合わせでカップボードを製作するのですが、既存残しの天井部分との取り合いがあり、一隆建築の太田さんにレーザー墨出器で確認してもらいました。

もう少し解体範囲を調整する必要がありそうです。キッチン工事の方ではキャビネットの高さの調整をすることになりました。リノベーション工事ですと既存との取り合いがありますので、キッチン製作発注前に解体確認後の内容を最終承認図へ反映していきます。

もともとリビングに面していた和室はすべて撤去し、ストレージと書斎に変更します。写真でもわかるように床の段差が結構ありますね。タイルなど仕上げよっては仕上がりに影響がでますので、セルフレベリング剤で平滑にします。セルフレベリング剤は、流し込むだけで均一なレベルを形成する性質(自己水平性)をもつ素材ですが、20mm以上の厚みを必要とする場合はモルタルを用いコテで平滑にします。

北側の寝室の様子。正面の梁型の部分が撤去されていますが、ここには間接照明を仕込んだ天井を新たに作ります。天井に光源を向けて設置するので、天井全体がほんのり明るくなります。就寝時に光源が直接目に入らないようしています。

エントランスホール。右手が玄関で、左手が今回新たに計画したストレージです。エントランスの折上げ天井は、お施主様が気に入っておられたので既存を活かした設計をしています。

今回は一部を除いて天井を解体しない計画ですので、換気設備は交換しますが、その先のダクト管や給水給湯の既存配管は利用できる部分は再利用としています。