RIFF house/外部建具工事

コンクリートの型枠脱型が終わり、いよいよ仕上げ工事に入っていきます。型枠が外れると次に行われる工程は雨水の侵入を防ぐために外部建具の設置や、この建物は外断熱の仕様のため、断熱工事を先行して進めていきます。

木製サッシの取付も進んでいます。木製サッシは川上製作所のJOYWOODを採用。

この地域は準防火地域のため、外部のサッシに防火性能が求められます。1階では敷地境界線から敷地内に3mの範囲、2階以上は5m範囲に掛かる建具は防火設備仕様にしなければなりません。防火設備というと一般的にガラス部分は網入りガラスを採用しますが、今回は網の入らない透明性の高い耐熱強化ガラスと断熱・遮熱性能が高いLow-Eガラスの複層ガラスを採用しています。(木製サッシのガラスは防火設備認定を取得しているファイアライトというガラスを採用)

2階の木製サッシとコンクリートの取合い。コンクリート壁の凹んだ部分は室内側でカーテンボックスやプリーツ網戸を納めるために窓枠を設置します。枠材はコンクリートの型枠のラワンの表情に近い南洋材のアガチスを採用します。アガチスは強度もあり木目も緻密で表情も主張しない造作材です。

コンクリートの躯体に木製サッシを固定するために、サッシアンカーという鉄筋で支持しています。隙間はサッシ用のモルタルを充填し、室内側には化粧として木製の窓枠を設置します。

上記はコンクリートの躯体のスリットに入るガラスの縦枠(建築用語で方立)です。外部に面するためメッキ処理をしています。

アルミサッシも入りました。アルミサッシも耐熱強化ガラス+Low-Eガラスの複層ガラスです。断熱性能も高く結露も生じにくい樹脂サッシを採用。サッシ枠も内部(サテングレー色)と外部(アルミ色)で色を分けています。

コンクリート躯体とアルミサッシの隙間にモルタルが充填されています。この隙間は外壁の左官仕上げ後にシーリング処理をします。

外壁の断熱材、ポリスチレンフォーム厚み50mmの貼付け。本計画は外断熱で東邦レオのエコサームを採用しています。この上にメッシュシートを貼りモルタル下地を塗った上に仕上をします。

アプローチ上部の跳ね出した2階のヴォリューム。こちらの軒天井にも断熱材が施されています。

RIFF house/型枠脱型

いよいよコンクリート型枠取外し(脱型)です。最後のコンクリート打設から約1か月ですが、その間に脱型は済んでおり、コンクリートの部分補修工事を実施しています。今回の計画のような小規模で複雑なコンクリート造の場合、狭い隅部などにコンクリートが完全に充填しないことがあり、そのような箇所はコンクリートを斫り(削ずること)とり鉄筋は錆止め処理を施し、新たにコンクリートを打設します。

1階ダイニング・キッチンからリビング・アウトドアリビングの眺めです。ダイニングキッチンは極力天井高を抑えて、リビングからアウトドアリビングにかけて天井が高く外に向けて開放されるように計画しています。天井の高さをコントロールすることによって劇的な空間になります。大きな吹抜けも良いですが、狭い空間においては空間に少し差をつけるだけでも、人の動作によって空間の移り変わりが感じられます。ダイニングキッチン手前の北側にはルーフバルコニーまで繋がる吹抜け(光井戸)があるので光と空気が空間全体を包みます。

こちらの基壇(階段の塊)はLDKに繋がるアプローチです。ただ階段を作るのではなく、玄関収納とリビングのベンチを兼ねています。上階へ繋がる階段は壁から跳出した片持ち階段です。コンリートの可能性は無限で意図的に操作することで空間の在り方も変わります。動線は軽やかに、皆の集まるところは包まれるような安心感が出せるとよいかなと計画してみました。

上記の写真は2階の空間で、手前がお子さんのお部屋です。宙に浮いているコンクリートスラブは床兼デスクです。少しづつスキップして一番奥が主寝室となります。建物の両サイドはお隣の建物があるので採光・換気用の窓だけです。南側の主寝室の窓と階段上部のハイサイドライトから、階下のリビングダイニングへ光をおとします。

階段上部のハイサイドライトは空間全体に光を落とし、写真右側の吹抜け(光井戸)はルーフバルコニーから1階のダイニング・キッチンまで光を届けます。この光を異なる操作をすることで陰影のある奥行きのある空間になります。

北側の 吹抜け(光井戸) です。1階はダイニング・キッチン、2階は浴室・洗面など水廻りを配置しています。北側には中層マンションがありこの建物を見下ろしているため、外殻でプライバシーを守りながら北側の柔らかい光が室内に届くよう工夫をしています。

浴室から洗面室の眺め。 吹抜け(光井戸) からの光が、暗がりで陰鬱になりがちな北側の水廻りを明るく照らします。

階段上部のハイサイドライトです。開口ワイドは約7mあり下階まで光を取り入れています。両サイドに隣家が迫っているため、このハイサイドライトが空間全体に光を届ける要となります。

階段上部のハイサイドライト(ルーフバルコニーから) です。東南に配しているため、時期・時間によって移ろう光が内部空間の光を変化させます。

2階からルーフバルコニーへの空間。上部に足場が掛かっていますが、足場の上部がハイサイドライトです。ハイサイドライト下部のコンクリートに四角い穴が2箇所あることがわかるでしょうか?

これです。コンクリート打設時に仕込んであります。何のための穴かわかるでしょうか?

実はこれ、2階の床(コンクリートスラブ)を吊るためなんです。この部分は階段ではなくコンクリート床が片持ちになっています。建物の間口が狭い空間なので柱を落とすと内部空間も狭くなってしまいます。それなら鉄骨柱を落とせば良いのでは?とも考えられますが、この空間は階段室です。柱を落とせないので吊りました。はい。。

吊材は約1.5cmの鉄の棒2箇所で吊ります。もちろん鉄の棒で吊らなくても構造的には何の問題も無いのですが、振動や荷重によって少し揺れる恐れがあるので吊っています。

外部の建具に採用するスチールサッシの枠材です。仕上の塗装などせずに溶融亜鉛メッキ仕上げです。一般的には外部使用で耐久性を持たせるために鉄のプレートに溶融亜鉛メッキを施した上で、お化粧に塗装を施しますが、今回はお化粧無しのそのまま溶融亜鉛メッキ仕上げです。 この仕上げはまだホヤホヤなので銀色でキラキラしていますが、数ヶ月でキラキラは落ちてライトグレー色になり、数年でグレーになります。RIFF houseにはピッタリの仕上げです。

RIFF houseはキッチンワークトップやダイニングテーブル、階段・ベンチ・デスクなどコンクリート製です。そのままの仕上げでも良いと思いますが、人の手の触れるところは左官屋さんで金ゴテで平滑に仕上げをして頂きました。

玄関ポーチのインターホン・ポストです。もちろんコンクリート壁に埋込みでデザインしています。ステンレス製のプレートで仕上げますが、仕上げの詳細はのちほど、、

上記の写真は2階空間を繋ぐ階段・廊下の床材です。2階の動線(洗面・トイレ・浴室以外)は全て木のルーバー床です。材種は加工性が良くとても強度があるアガチスを採用しています。本計画はラワン合板型枠のコンクリート打放しと内部間仕切り壁の仕上げは同種のラワン合板仕上げです。ただルーバー床にラワン無垢材だと少し強度が落ちるので、強度がある同じ南洋材で表情がとても似たアガチスを採用しました。内部建具の枠材もアガチスです。

コンクリートの片持ち階段から綺麗に光が漏れていますね。

次回は内装について書いていきたいと思います。

RIFF house/コンクリート打設-4_3階壁・屋根

4回目の最後のコンクリート打設です。今回は3階(塔屋)の壁と屋根の打設になります。それと玄関から少し降りる基壇(階段)とダイニングテーブルの打設です。

コンクリートの受入検査はもちろん確認しておりますが今回は割愛します。 上記写真は塔屋屋根の打設写真です。1.2階のヤマ場は過ぎたので職人さんの人数も少ないです。

上記はダイニングテーブルの打設風景。シンクのワークトップとダイニングテーブルを兼ねており、ワイドは3.6m強あります。型枠が外れると圧巻ですね。皆でワイワイとお料理しながらテーブルを囲む風景を想像します。

ダイニングテーブル端部。テーブルの底部が逆三角形になっているのが写真を見てわかりますかね。ダイニングテーブルは1.8mも跳出しているので、コンクリートにある程度厚みが無いと根元で折れてしまいます。ただそのまま厚みを持たせた場合、今度は椅子に座った時にコンクリートが膝に当たってしまいますよね。なので正面から見たテーブルの厚みは鉄筋が入るギリギリの寸法で約7cmの見付としています。中心に沿って船底のような逆三角形になっているのです。中心部を厚くすることで跳出しの力を支えます。例えるなら樹木の枝や生物の腕や足のように根元を太く先端を細くしています。 建築は自然界の力学から応用しているのがとても分かります。

こちらは玄関からLDKに降りる基壇(階段)です。下足入れやベンチの家具と一体になります。

前回コンクリートを打設した2階部分です。型枠がすでに外れています。天井はまだコンクリートの養生期間ですので型枠は外せません。しばらくは支保工(仮設の鉄骨柱)ある状態で作業進めなければなりません。

2階の型枠が外れた状態(脱型)です。ラワン合板型枠のラフな仕上げが何とも表情があります。

次回は脱型後の確認でコンクリートの空間が露わになってきます。楽しみです。

RIFF house/配筋検査-6_3階壁・屋根

いよいよ最後の配筋検査です。前回3階の床までコンクリートの打設が完了し、残すは3階(塔屋)の壁と最上部の屋根の配筋検査になります。

中央右手の開口部はルーフバルコニーへ出るための開口部になります。内部空間はスキップフロアの為、屋根にもレベル差があることがわかります。手前の一番低い床は北側の水廻り(トイレ・洗面・浴室)エリアです。

上記写真は、最後にコンクート打設前の塔屋です。階段室と採光の為の大開口のハイサイドライトが設置されます。

こちらも最後の電気配管の確認です。内部空間はボードなどで仕上げをしないコンクリート打放し仕上げのため、屋根スラブにも配管が展開しています。

隅部の柱と梁の取合い。柱梁を壁の中に納めるため、かなり複雑な配筋です。

塔屋階段内部から見たハイサイドライト。東側向きに設置しておりますが、ワイドは約7mあるので太陽が南側に移動しても十分に光を下階まで届けることができます。

1階のキッチン兼ダイニングテーブルの配筋です。前回ブログでも書きましたが家具もコンクリートで製作します。真ん中の型枠にステンレス製のシンクが納まります。

コンクリート製のダイニングテーブルは約2m跳ね出しております。天板を支える脚がありませんのでゲストが沢山来た時でもテーブルを囲むことができます。

埋込シンクの型枠・配筋の状況。シンク部のコンクリートの厚みは12cm

上記がシンク側の図面です。ダイニングテーブルが跳ね出していることがわかります。このテーブルもコンクリート製です。

この建物の内部空間はスキップフロアで、玄関からアプローチしてすぐに上下に分かれる階段があります。上階(2階)へはコンクリート壁から持ち出した片持ち階段。下階(1階LDK)へはコンクリートの塊の基壇。軽やかさと重厚さ、素材そのものの物質の力が感じられると思います。

いよいよ次回は最終コンクリート打設となります。

RIFF house/コンクリート打設-3_2階壁・RF床

3回目のコンクリート打設です。今回は2階壁から屋根の打設です。

3回目の受入れ検査の模様。検査立会いのTちゃんです。コンクリート打設には毎回検査立会いをしてくれています。だいぶ板についてきたようで「今日のは前より柔らかいねと!ピース!」さすが構造家Jr! 確かに前日の大雨で湿度が多く少し柔らかいコンクリートでしたが、許容値をクリアしていたのでOKです。

今までのコンクリート打設と同様に建物の奥から打設していきます。

コンクリートの打設は建物の規模にもよりますが、ポンプを取りまわす人が2人、振動棒(バイブレーター)で撹拌する人が2人、振動棒の配管を取りまわす人が1人、同時に打ち込み終わったコンクリートを均す人と現場監督で合計6~7人体制で、さらには外部及び下階にコンクリートを隅々まで充填する為に、木槌で型枠を叩く役割の人、床の型枠を支持する支保工(鉄骨の仮柱)をレベルを調整する職人さんもいるので合計12~13人です。コンクリートは流動的なので時間内に均一に打設するには沢山の職人さんが関わっています。

2階から3階へ続く片持ち階段の打設風景。職人さんの背中に写っている緑の線はレベラーと言って水平・垂直をレーザー照射して各部のレベルを確認しながら支保工を調整します。

型枠大工さんも常に型枠の状況をみて調整しています。

打設後の様子。打設時は連続して作業が行われる為休憩をとることができません。そして打設が終わると静寂に包まれます。いつもですがこの瞬間は何とも言えない気持ちになります。

今まで設計してきたものがが出来てくる瞬間と言いますか、少しづつ自分の手を離れていくような。。

脱型後のラワン合板型枠の肌理。とても表情がありますね。この肌理ももちろんこのままで仕上げです。